"通"と名のる人
"通"と名のるからには、ここをきわめよ。
あらゆるものに"通"は存在するわけだが、中でもレベルの差を見せつけるのが、意外だけれど「ラーメン通」・・・。
日本人の8割はラーメン好きなだけに「ラーメン通」と呼ばれる人の層も相当に厚く、その道のチャンピオンともなると、趣味の域をはるかに超え、ラーメンに対する洞察力はもちろん、その造詣の深さは、「たかがラーメンに・・・」とバカにできないものがある。
歴代チャンピオンが、日本一のラーメンを選ぶために全国を旅する番組を、ちょうどその時おなかがすいていて、ほとんどかぶりつきで見てしまったのだが、彼らは出されたラーメンにまず何をしたかと言うと、まるで"お香"をきく所作のように、手で鼻に香りをよせてラーメンの香りを試したのだ。
ギャグかと見れば大まじめ。
次にスープを少しすすってひとこと。
これはワインのテイスティング。
そして、つつがなく美しく1杯をたいらげたあとは、スープと麺と具について、またそのバランスについて、店の雰囲気から清潔度まで、理論的かつ文学的な評論をとうとうと述べはじめたのだ。
その緻密さと感注、何より表現力の豊かさと理路整然たる解説は、美術評論の域を超えそうなほど。
まったく舌をまいた。
「負けた・・・」と思った。
まがりなりにも化粧品評などをひとつの"なりわい"としている自分が恥ずかしかった。
例えばしみに効く化粧品をこんな風に分析出来るのかと・・・。
おそらく世の"化粧品通"も"ラーメン通"にレベル的に負けています。
でもなぜ?と考えた。
私たち女にとって、化粧品は確かに"生きるためのひとつの糧"。
しかし同じ糧でもラーメンは、あくまで食べもので、しかも気取りも飾りもない、もっとも素朴なごちそう。
化粧品とラーメンを比べても仕方がないが、"つける"と"食べる"の差なのか、"物"と"食事"の差なのか、そこに入りこむ深さにハッキリ差が出てしまっています。
自分自身、"化粧品通"と言うには読みも表現もまだまだ。
さらなる精進を心に誓ったのであった。